2021年 11月
山の紅葉が平地まで降りてくる11月。自然が多いので、ふとした時に季節を感じることが多くなりました。
ーー今月は店舗改装の見積もりを待っている間、食材の仕入れの相談をしに、各所へ回りました。
埼玉にいながら開業の計画を立てていたとき、南相馬は業者が少ないだろうから、選定が大変そうだなぁと思っていました。しかし!そんなことはなかったのです!店舗の周りには、地元の方から信頼されるお店がたくさんあり、新鮮な食材を仕入れることができそうです。それぞれのお店のオーナーさん同士も繋がりがあるので「みんな○○店使ってるよ!」「あのお店は○○がいいよ!」なんて、情報も教えてもらえます。
私の修行先では、ちょっと融通の効かないいかにも業者という感じの取引先がほとんどだったので、「そんな柔軟に対応してくださるんですか?!」と驚くことばかりです。
『一企業』ではなく『個人』として取引をしてくれる。そんなイメージです。これこそ【までい】ですね。皆さま、お世話になります。
ーー今月、融資関係で主人名義の銀行口座を作る必要があり急遽、主人に南相馬へ来てもらいました。「債務者」という言葉にビビっていましたが、私と一連托生。そういうことです。店舗では厨房を見るや否や、厨房機器の高さを800から900にしたいとか簡単に言うので困ったものです。そして、福島は寒いと言っていました。
ーー移住から3ヶ月経ち、いろいろな方とお話しする機会が多くなりました。その時に一番多い「なぜ出身地の浪江町ではなくて南相馬市でやるのか?」という問い。その答えをここにも綴りたいなと思います。その答えは
【南相馬市のほうが街の様子を知っていたから】
私は浪江町で中学の卒業式の日に被災しました。当時15歳だったので個人の移動手段は自転車だけ。行動範囲も狭く、浪江駅前の方は土地勘がありません。(私の母校は国道6号線から海の方にある浪江東中学校でした)
それに対して南相馬市は教師である母親の主な勤め先であり、常磐線横にあったスイミングスクールに6年間通っていました。現在実家も市内にあります。起業しようと思った初期の段階で、店舗の場所は南相馬市と決めたので、帰省するたびに駅前を中心に物件探しもしていました。入りたかった物件が契約されている様子を見ては落胆していた頃が、今では懐かしいです。
浪江町を捨てた、というわけではありません!定期的に帰りたいと思って浪江へ足を運びます。もともと農家だったこと。請戸川に遡上してきた鮭を捌いて食べていた食卓。自家製味噌で作る味噌汁。採りたてのネギをストーブの上で焼いて食べていたこと。飲食店を開業する、今の自分のルーツとなることが詰まっている一番大切な故郷です。
ーー11月下旬。郡山で行われた特別なイベントディナーへ行ってきました。埼玉にいた時にずっと行きたいと思っていたBistro Némot(ビストロ ネモ)さんと、雑誌とInstagramで知った鈴木農場さん、郡山にあるcatoe(カトウ)さんのコラボイベントでした。三つ星レストランで修行されていた根本シェフがまさか郡山出身だったなんて!
https://r-tsushin.com/journal/japan/fukushima_koriyama_2020_1/(サイトより引用)
手元が丸見えのオープンキッチンは、個人的に反対派なのですが、このイベントはオープンキッチンの良さが前面に出ていました。福島県内の食材を使ったコース料理、そしてペアリングのお酒。どれも面白くて、それぞれに物語があって、美味しい。本当に充実した時間でした。スタッフに同年代の方が多くてそれも刺激になりました。私たち夫婦は、何年もフレンチで修行していたような方に料理の腕は劣ります。提供する予定の料理はこんなにも素敵ではありませんが...気軽に楽しめるリーズナブルなお料理を目指します。さらに、できる限り地元の食材を使って行きたいと思っています。地元のお野菜は新鮮ですし、何より美味しい!
ーー今月は美味しいものをたくさん食べました。それに伴ってちゃんと体重も増えます。会いたい人にお会いして、お話しして、忙しくも楽しく過ごせました。
相馬市のにじファームさんと一緒にぐらんぱさんでお食事。お互いのことを話し合って、共感し合えて楽しいひとときでした。生産者の方がいて初めて、私たちは料理を生業にしていくことができます。SNSの運営についての意見交換は貴重でした!
移住前からInstagramで知り合い、連絡を取り合っていた方から一眼レフを譲っていただきました。だいぶブランクがあるので、少しずつ思い出していきたいと思います!旦那様との日々を収めてきたこのカメラで、私たちもいろいろなものを残していけたらなと思います。
大学で偶然出会った、南相馬市出身の同級生。貫禄が出てきました。地元で通っていた学校は違いますが、大学時代は音楽仲間でもあり、埼玉では同じ街に住み、主人とも仲よく、ご実家が飲食店。共通点がありすぎてびっくりです。これがご縁というものなのかな!と思っています。
彼は浪江町出身で、同じ中学校に通っていた同級生。職種は違えど開業を目指す同志でもあります。そんな彼ももうすぐ入籍予定。おめでたいです!私は次、髪を切ってもらう頃にはオープン間近かな...と思いドキッとしました。
いろいろ計画を立てている中、修行先の常連さんからお手紙が届いたり、電話でお話ししたり。懐かしい声には思わずうるうるときてしまいます。年末は埼玉に用事があり、30日の深夜〜3日まで修行先のある川越に帰ろうと思っています。2、3年は埼玉に帰らない予定なので(師匠にお店が軌道に乗るまで帰ってくるなと言われている)会いたい人に会えるといいなぁ。
ーー12月は店舗の解体工事が始まります。いよいよ、です。ここから激動の数ヶ月が始まる...。
最後の写真は、主人が渋谷の職場から撮影して送ってきた夕焼け。この日は南相馬も綺麗な夕焼けでした。主人の修行生活も残り1ヶ月。走り抜けて欲しいと思います。
ありがとうございました!